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気管支喘息の学童にモンテルカストを1週間

医師が語る処方箋の裏側

気管支喘息の学童にモンテルカストを1週間

 気管支喘息の治療は、長期管理が基本。小児でもそれは同じだ。学童の場合、年に数回軽い発作を起こす「間欠型」より重症の場合(治療ステップ2 以降)は、吸入ステロイド薬を中心とする長期管理が、診療ガイドラインで推奨されている。

 だが、実際に気管支喘息の子どもやその保護者に聞いてみると、吸入ステロイド薬を続けるのは、医師が思っている以上に難しいようだ。秋風が吹いてきたころ、久しぶりに発作が出たといって受診した上田まゆみちゃん(8 歳)もそうだった。「前に先生が渡した、吸う薬はどうしたの」と聞くと、咳が治まったのでやめたという。

 以前は「軽症持続型」と判断して吸入ステロイド薬を処方したまゆみちゃんに対 して、再び同じ薬を処方しても、またやめてしまうかもしれない。そこで私は、治療 をステップダウンして、「1 週間頑張って 飲もうね」と、ロイコトリエン受容体拮抗 薬のモンテルカストナトリウム(商品名シングレア、キプレス)を7日分処方した。

 ロイコトリエン受容体拮抗薬は、既に起こっている発作を止める薬ではなく、長期管理薬に位置付けられている。だが 短期間の使用でも効果があることを示す ランダム化比較試験(RCT)が行われ ている。

 間欠型気管支喘息の2 〜 14歳の患者220人を、モンテルカスト群(107人)と プラセボ群(113人)に分け、7 日間治療 を行ったところ、医療機関への予定外の 受診は、モンテルカスト群で有意に少な かった。症状スコアや、学校/保育所を 休んだ日数も、やはりモンテルカスト群で有意に少なかった(Am J Respir Crit Care Med. 2007; 175: 323-9.)。

 まゆみちゃんは私との約束を守って1 週間の治療コース終了、幸い、その後は 発作を起こさずに済んでいる。 (談)

NIKKEI Drug Information 2012.09

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